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First Flight Interview:「Qrio Lock」開発者インタビュー

我々は「IoTメーカー」ではない‐“カギの体験を変える”ことで、世の中に変化をもたらしたい

Qrio株式会社が今年7月に発表し、好評を博しているスマートロック「Qrio Lock」(First Flight製品ページはこちら)。2015年発売の「Qrio Smart Lock」から約3年、スマートロック第2世代に当たるこの製品は何が変わったのか。新商品にかける思いを企画・開発担当者にインタビューしました。
「Qrio Lock」「Qrio Key」の製品詳細はこちら

■プロフィール

高橋 諒(たかはし りょう)

Qrio株式会社 Lock事業部 事業部長 兼 マーケティング部 部長

「Qrio Lock」の事業企画・マーケティング責任者。学生時代にネット系ベンチャー企業を起業した経験を持つ。その後、Qrio株式会社ファウンダー西條氏のビジョンに共感し、2015年にQrio株式会社に入社。

楢原 立也(ならはら たつや)

ソニー ネットワークコミュニケーションズ株式会社
ハードウェア設計開発室 Q事業課

Qrioの製造・開発・設計を行うプロダクトマネージャー。過去にはソニーのエンジニアとして、光ディスクの開発、ブルーレイの規格策定、ヘッドマウントディスプレイなどの開発を手掛けた。

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スマートロック事業を行うQrio株式会社とは?

ーーー まず、Qrio株式会社について教えてください。

高橋氏: 「Qrio株式会社は、WiL, LLCとソニー株式会社がスマートロック製品の開発・製造・販売及び、その運営サービスを提供する合弁会社として2014年に設立されたジョイントベンチャーです。2017年8月より、ソニーグループ内でスマートホーム分野などのIoT事業を展開するソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社の子会社になりました。

主に企画・営業はQrio、製造・開発・設計はソニーグループが行っています。Qrio側がこんなことはできないか、こういったことがやりたい、と要件を出し、それにソニーグループのエンジニアが応える形です。とはいえ、「受発注関係」のような関係ではなく、一つのチームとして課題を共有し、一体となって事業を行っています。」

ーーー 楢原さんはどういった経緯でこのプロジェクトに参加されたのでしょうか。

楢原氏: 「私はソニーの新規事業創出プログラム「Seed Acceleration Program(SAP)」のオープンイノベーションの一環として、2014年にQrio株式会社が立ち上がった時に参加しました。製造・開発・設計をソニーグループで担うことが決まり、ハードウェア量産のノウハウが必要になったところで、経験者である私に声がかかりました。」

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第2世代「Qrio Lock」が開発された理由とは

ーーー 第1世代「Qrio Smart Lock」発売から約3年。第2世代となる「Qrio Lock」発売に至った経緯を教えてください。

高橋氏: 「通常、「IoT家電」と呼ばれるような新しいコンセプトの家電製品は、クラウドファンディングなどで火が付き、販売初期に最も売り上げが伸びますが、その後は下火になって売り上げが落ちていきます。主に、新しい製品に敏感な家電好きの方が購入されるイメージです。

しかし、「Qrio Smart Lock」の場合、販売から1年たってからまたじわじわと売り上げが伸び、最後の1年が最も好調でした。

このことから、「スマートロックは、切実に必要とする利用者が存在する製品」であること、また「時間が経つにつれて、スマートロックを必要とする方々が自身で調べ、購入するようになっている」ことがわかってきました。

本当にスマートロックを必要とする方々が、必ずしも「スマートホーム」や「IoT」という言葉をご存じであるわけではありません。むしろ少数派です。そういった家電に詳しくない方でも、もっとわかりやすく、より快適に利用できる製品にしなければならない、という問題意識が第2世代の開発に至った理由です。」

「Qrio Lock」製品イメージ 第1世代「Qrio Smart Lock」よりも小型化している

楢原氏: 「もう一つの理由として、技術的な進歩があります。3年たつと、半導体の性能や無線通信の省電力性、メモリの容量など、部品の性能がより高まり、実現できることが増えます。かつ、安価に手に入るようになるので、一般の方が手に入れやすい価格で製品化できるようになります。よりよい体験が提供できるというわけです。」

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やりたいのは「カギの体験を変える」こと

ーーー 「より快適に利用できるようにするため」に、何を変える必要があったのでしょうか。

高橋氏: 「「カギの体験を変えたい」という思いが我々にはあります。“カギが便利になる”ではなく“カギのことを考えなくてよい”、つまりカギのことでストレスを感じることのない生活を実現したい。その意味で、改善すべき点がありました。

8月30日に発売になった「Qrio Key」も、スマートフォンを持っていない人でもカギを意識しなくてよい経験をしていただきたくて、「Qrio Lock」と合わせて開発をしました。」

8月30日発売の「Qrio Key」。スマートフォンがなくてもカギを開けることができる

楢原氏: 「家電側が、面倒なことを利用者に意識させず、自動でやってくれなければ「スマート家電」とは呼べないと思っています。たとえば、第1世代「Qrio Smart Lock」の「ハンズフリー解錠(※)」は、自動でカギが開くまでに数秒かかることがあり、利用者にカギの存在を意識させてしまうことがありました。」

※ハンズフリー解錠・・・ポケットにスマートフォンが入っているだけで、ドアに近づくと自動的にカギを解錠する機能。第1世代「Qrio Smart Lock」と第2世代「Qrio Lock」では異なる方式を使っている。

「ハンズフリー解錠」では荷物が多くてもカギを出すことなくドアを開けられる

ーーー なぜ「ハンズフリー解錠」では時間がかかったのでしょうか?

楢原氏: スマートフォンのOSが提供する位置情報を使って、ドアに近づいたかどうかを判断していることが原因でした。ドアの近くに来た時でも、スマートフォンのOSの省電力化などでアプリに位置情報が通知されないことがありました。スマートフォンのOSが提供する位置情報を使う仕組み自体の限界です。

それを、第2世代の「Qrio Lock」では、ビーコン(※)を併用することで解決しました。環境にもよりますが、ビーコンは数センチ〜数メートル単位での位置情報を正確に取得できます。

1. 利用者が「Qrio Lock」の半径100メートル以内に入ったことを位置情報で感知しビーコンを待機状態にする
2. 利用者が「Qrio Lock」の数メートル以内に近づくと自動でカギが開く

という位置情報とビーコンのよいところを組み合わせた仕組みになっています。」

※ビーコン(beacon)・・・発信側と受信側の機器で信号を発信・受信することにより、位置をはじめとした各種情報を取得する仕組みのこと。信号を受け取るアプリをスマートフォンに入れておき、信号を発信する機器に近づいたことを計測する際によく使われる。

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無謀にも思える「解錠スピード」の改善目標

ーーー 解錠自体のスピードも大きく改善しています。

高橋氏: 「カギの解錠のスピードは最優先課題でした。利用者の方のアンケートや、技術者向けのワークショップで、最も改善要望が多かった。

目標は、解施錠操作をしたら即時に反応すること。利用者の体験として必要なスピードでした。難題だと思いながらも、開発チームにはそれを実現するようにお願いしました。」

手動による解錠は、スマートフォンアプリ「Qrio Lock」や、専用機器「Qrio Key」で行う

ーーー 無謀にも思える目標ですが、実現できたのでしょうか。

楢原氏: 「スピードを改善する大きなテーマは2つ。「認証」と「モーター制御」です。

スマートロックは、スマートフォンのアプリでインターネットを通してカギを開けるわけですから、セキュアな認証が必須です。それに時間がかかっていました。

また、カギはモーターを使って開けるのですが、カギを動かすには強い力が必要である一方、力ばかりを優先すると回転速度が低下し、解施錠に時間がかかる。スマートロック利用者のユースケースを検証して、力とスピードのバランスをとる必要がありました。」

ーーー 「カギを開ける」という一見単純に見えることの裏で、難しい課題があるのですね。どうやって改善したのでしょうか。

楢原氏: 「「認証」は、認証の用いる暗号の方式自体を見直し処理する情報量を大幅に減らしたこと、無線通信の方式を見直し応答速度を早くすることで大幅に改善しました。また、第1世代から約3年たって、プログラムを処理する半導体の性能が上がったことも貢献しています。

「モーター制御」については様々なモーターを検討したこと、モーターを動かすプログラムを細かく調整することで、強い力とスピードの両立を実現することができました。

この2つの課題を解決するとことで飛躍的に時間を短縮し、「即時に反応する」目標を達成しました。カギの解錠のスピードは、第1世代よりも8倍速くなっています。」

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別の製品開発の経験を応用した「オートロック」機能

ーーー 扉を閉じた後動作する「オートロック」機能も方式が変わっています。

高橋氏: 「旧モデルのオートロックは、10秒など設定した時間がたつと自動で施錠するものでした。「Qrio Lock」のオートロックは、ドアが閉じたことを専用のセンサーが正確に認識して施錠します。完全にドアが閉じなければ自動でカギを締めることはなく、“カギのことを考えなくてよい生活”のために非常に重要な機能です。」

オートロック機能によって「カギを取り出して締める」ことから自由になる

楢原氏: 「「ドアが閉まっていることを認識して自動でロックする」のも一見簡単なようで、難題が待ち構えていました。

ドアの開閉検知には「センサーと磁石を組み合わせ、磁界の大きさの差異を検知する」方式を検討したのですが、これには以下の課題がありました。

1. 既存のドア開閉検知用磁気センサーは、大きな磁界の差異を検知するためにセンサーと磁石の距離を1cm以下にする必要があり、ドアの開け閉めの検知に向かない。

2. 「Qrio Lock」本体、センサー、磁石の3点をそれぞれドアに設置するのは、利用者にとって作業の負担が大きい。

この2つの課題を解決するために、スマートフォンに採用されている磁気コンパスをセンサーとして採用し、微弱な磁界の変化を検知することを可能にしました。また、開閉検知の精度とスピードを上げるために磁界の大きさだけでなく、磁界の向きなど様々な検出信号を組み合わせる信号処理技術を用いた技術を新たに開発しました。小さい磁界の変化を捉え、センサーと磁石の距離が離れていても正確にドアの開閉を感知できるため、センサーを「Qrio Lock」本体に内蔵させることが可能になりました。センサーと「Qrio Lock」本体が1つになったので、利用者は「Qrio Lock」本体と磁石の2点をドア枠に設置するだけで済みます。

これは、様々な信号処理が必要なビデオ機器の開発に携わってきた、ソニーグループのエンジニアだからこそ実現できた技術であるように思います。」

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決定のスピードが速いQrioの組織体質

ーーー さまざまな要望や課題がある中で、どうやって意思決定をされているのでしょうか。

高橋氏: 「Qrioという会社はとにかく決定のスピードが速いです。ベンチャーなので、代表の西條がYesと言えばそれで話が進みます。週次のミーティングもあるのですが、それ以外の普段の会話やメール、電話などで意思決定することが多く、それがそのまま製品に反映されます。」

楢原氏: 「Qrioには「Qrio Lock」「Qrio Key」以外にも「Qrio Hub」「Qrio Smart Tag」などの製品が増えてきていますが、それでもソニーのように百万単位でのモノづくりではないのでスピード感を持って意志決定ができますね。

もちろん大量生産して世界中に安定した品質の製品を提供することも大事で、それは体力のある大きな企業がしっかりとやっていく必要がある。しかし、少数でスピード感を持って新しい市場を作っていくのは、ベンチャー企業が得意とするところ。役割がそれぞれ違います。」

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「カギを自由にする」ことで生まれる未来の可能性

ーーー 最後に、Qrioが目指す今後について教えてください。

高橋氏: 「私たちはスマートロックを作っているので「IoTメーカー」と紹介されることが多いのですが、自身では「IoTメーカー」とは思っていません。私たちがやっていることは、スマートロックを作ることではなく、「カギを自由にする」ことです。それによって、生活そのものを豊かにする、世の中に変化をもたらすことが目的です。

ーーー カギが自由になると、世の中がどう変わるのでしょうか。

高橋氏: 「たとえば、以下のようなことが考えられます。

  • スマートロックによって民泊を促進することで、訪日観光客が増え宿泊施設の不足が懸念される問題を解決する
  • 身体にハンディキャップのある方が物理的なカギを使わずにストレスなくドアの開け閉めができる
  • 寝たきりの方がベッドから出ることなく、安全にドアを開けてヘルパーの方を迎え入れる
  • 3時間だけ有効なカギを発行して、安心して家事代行サービスを利用できるようになる

など、あくまで一例ですが、カギが自由になることでできることはたくさんあります。

また、スマートロック自体の普及台数はまだまだですが、コインロッカー、傘置き、車、会議室、シェアオフィスなど家のドア以外にもカギが利用されている場所はたくさんあり、我々としてはこれらもチャンスととらえています。」

ーーー 「カギを自由にする」というのは想像以上に世の中を変える可能性があるのですね。驚きました。

高橋氏: 「そうです。日本には何千万台というスマートフォンがあり、物理的なカギをスマートフォンから動かせるとなったらさまざまなチャンスがあります。

スマートロックの普及台数が増えていけば、可能性は増えていきます。それを我々が先頭を走って変えていきたい。いつも「日本で一番普及しているスマートロックです」と言っているのは、このビジョンがあるからです。「仮に、300万台の「Qrio Lock」が世の中にあったら、こんなサービスが実現できる」ということをいつも考えています。

私は2年半 「Qrio Lock」の事業企画とマーケティングをやっていますが、こういうことをやりたい、という思いは広がるばかりで、やりたいことは尽きそうにありません。」

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